極悪プリンスの恋愛事情



───バサッ


「んえ!?」


突然、私の視界が暗闇に包まれた。

な、なに!?


頭の上に被さる何かを手で動かして、どうにかこうにか顔を出そうと必死になる。


「もう、なんなの!」と苛立ちながら顔を出して気づいたけれど。

飛んできたのは、相崎くんの上に置き去りにしたはずのカーディガンだった。


あれ、なんで私のカーディガンがここに…………。


「ダッセーくしゃみ」

「!?」


背後から聞こえた声に驚愕する。


……だって、紛れもなく相崎くんの声だったから。