極悪プリンスの恋愛事情



「こういうとき、なんて言えばいいのかわかんねーんだよ」


俯いた凛くんが足元に声を落とす。

聞こえた言葉は微かに震えているような気がした。


「俺はお前が嫌いだ。お前がどこで何をしようが俺には関係ないって、今でも本気でそう思ってる」


ズキリと胸が痛む。

あの日と同じ傷口を抉られて、深いところまで突き刺さっていく。


そんなこと、改めて言われなくてもわかってるよ。

わかってるからこんなに苦しいのに。


「そっか……」


涙を抑えるのに必死だった。

足に力が入らなくて、揺さぶられたらすぐにでも倒れてしまいそう。


早くこの場から逃げ出したい。

泣いてるとこ……凛くんに見られたくないよ