極悪プリンスの恋愛事情



「うぅっ……」


ヒリヒリと痛みが広がる額を抑えた。

凛くんは変わらず笑っていて、その姿だけなら噂通りの極悪プリンスに見えてくる。


「人のこと勝手に連れ出したくせに、冗談言って遊ばないでよ!」


今日の私はいつもより強気だ。

聞きたいことが山ほどある上に弄ばれたんだもの。ちょっとくらい文句を言ったっていいと思う。


「あぁ、悪い」


あからさまな棒読みで返される。

むしろわざと言ってるのが余計に腹立たしい。


「絶対思ってないじゃん……」


なんで今日の凛くんはこんなに意地悪なんだろう。

緊張してたのは私だけで、構える間もなくストレートパンチを決められた気分だ。


「なぁ、花野井」


「今度はなに?」


「テストで1位取ったらお前とデートできるって聞いたんだけど、俺も有効なわけ?」