極悪プリンスの恋愛事情




「……そうだよって言ったら、どうする?」



聞こえてきたのは落ち着きのある甘い声色だった。


「へ?」


マヌケな声とマヌケ顔をぶら下げて、極上のイケメンを見る。

訪れたほんの僅かな静寂。


先に声を上げたのは凛くんの方。


「ぶっ……!」


いや、耐えきれず吹き出したと言った方が正しいかもしれない。


手で顔を隠しながら、くくっと楽しそうに笑っている。


「冗談だよ冗談。っとに、花野井はからかいがいあるわ」


「えぇっ!冗談!?」


不覚にもドキドキしてしまった私の心臓を返してほしい。

片想い中の相手にそんな冗談吐くのは反則だよ!


「自惚れんな、バーカ」

「はうっ!」


愛の鉄槌………と言えなくもないただのデコピンが私の額を弾いた。