「そういうわけだから」 ぎゅっと、誰かに肩を抱き寄せられる。 ううん。誰かじゃない。 この声は……。 「こいつとのデートは諦めろ、瑛斗」 紛れもなく凛くんのものだ。 「凛……」 ギャー!と叫ぶ周りの声が耳からすり抜けていく。 私には特定の小さな世界しか見れなかった。 「邪魔してくるってことは、ようやく認めたわけ?」 「さぁ、どうだろうな」 2人にしかわからない会話の核心を外した口振り。 何のことだろうと気にしながらも、凛くんに抱き寄せられてる事実で頭がいっぱいだった。