極悪プリンスの恋愛事情



「ちょっと皐月。私まだ何も言ってないよ」

「代わりに答えてあげただけじゃん。それともだめだった?」

「だめじゃないけど……………」


恐る恐る岸本くんに目を向けてみる。

すると見事に視線が交差して、すぐさま顔を逸らしてしまった。


どうしよう。今のわざとらしかったかな。

意識してるのバレバレじゃん……。


「じゃあ、静香の了承も得たわけだしもう行こうよ!早くしないと部活に遅れちゃう」

「わっ、!」


ぐいっと、皐月に手を引かれる。

さっきは少しくらい遅れても平気だって言ってたのに、強引なんだから。


文句を言ってやりたい気もしたが、皐月がいてくれてよかったとも思うから、何も言わないことにした。


「岸本は今回のテストどのくらい自信あるの?1位狙ってんでしょ」


前言撤回。

ド直球に何を言っているんだこの子は。