極悪プリンスの恋愛事情



教室を出る前に、ちらりと凛くんの席を確認した。


鞄、無くなってる………。


5時間目から教室にも居なかったし、昼休み中に帰っちゃったのかな。

目が合うのが怖くて意識的に見ないようにしていたから、思い出すのが難しい。



「花野井ちゃん!」


後ろから呼ばれて振り返る。

にこりと穏やかな笑みを浮かべた岸本くんが、私の前で足を止めた。


「これからテスト順位見に行くの?」

「う、うん」

「俺も一緒に行っていいかな」

「えっと………」


「もちろんいいよ!岸本も一緒に行こ!」


真っ先にそう答えのは、私ではなく隣にいた皐月だった。