極悪プリンスの恋愛事情



凛くんの言葉が胸に落ちる。

“嫌い”だなんて、何度も言われて慣れてるはずなのに、今が一番苦しく思えた。


目尻には熱いものが込み上げてくる。

零れそうになるのを必死に堪えて手のひらを握りしめた。


凛くん、怖い顔をしてるんだろうな。

歪む視界で顔を上げる。



けれど、視界に映った光景は全く予想外のものだった。


…………なんで。


なんで、凛くんまで苦しそうな顔するの。

まるで鏡合わせで自分を見ているみたい。


「……邪魔して悪かった」


それだけ言い残すと、凛くんは静かに教室から出て行った。


狭い空間に岸本くんと2人きり。


堪えていた涙が一気に溢れ出た。