極悪プリンスの恋愛事情



───けれど、そう安心できたのも束の間。


「ちっ、何ヘラヘラしてんだよ」


冷め切った凛くんの言葉で現実へと引き戻された。

熱から覚めて体が冷える。

鋭い視線が胸に刺さって痛い。


「瑛斗も趣味悪いな。こんな変なやつに惚れるとか、情でも湧いた?」


「何言ってんの。俺は趣味悪いつもりないし、花野井ちゃんのこと悪く言うのやめてほしいんだけど」


「ムキになんなよ。事実じゃねーか」


「ムキになってるのはそっちだろ。花野井ちゃんを取られたくないとでも思ってんの?」


「俺はそんな…………………」



俯いて黙り込む凛くん。

仲の良い2人が言い争ってる姿を見るのは初めてだった。


「……俺の気持ちは今も変わってない。花野井のことが大嫌いだってな」