「時間も遅いしそろそろ帰ろうか」
「う、うん……」
重い空気のせいで上手く呼吸ができない。
これから一緒に帰るのに、これ以上気まずくなったらどうしよう。
せめて心の整理を…………気持ちを落ち着かせる時間がほしい。
そう思ったのは岸本くんも同じだったようで、
「……教室に忘れ物したかも。取ってくるからちょっと待ってて」
私の返事を待たずに自習室から出て行ってしまった。
わざわざ走らなくてもいいのに………と思いつつ安堵の息を吐く。
「あー、どうしよう!頭の中こんがらがってるよ………」
机の上に突っ伏して、ぐちゃぐちゃになった脳内を整理する。
さっきの岸本くんの言葉……嘘じゃないよね。



