極悪プリンスの恋愛事情



返す言葉が見つからなくて、たまらず俯いた。


こんなの誰だって自惚れて勘違いしそうになる。

“そういう意味”じゃないって思いたいのに、私にはそれ以外が思い浮かばない。


ドクドクと波打つ心拍が加速していくのを感じた。


「えっと、その………」


結局、返す言葉を見つけられずに黙り込むしかなかった。


数秒なのか数分なのか。時間の感覚がないまま沈黙が続く。


先に口を開いたのは岸本くんの方で、


「………困らせるようなこと言って、ごめん」


苦しそうな声が耳の奥でこだました。