「岸本くんが優しいから!だと、思います………」
混乱した直後に飛び出した答えはとても単純。
歪な敬語混じりでちょっとだけ恥ずかしい。
「ははっ、なんで敬語?面白いけど不正解だよ」
案の定、岸本くんに笑われた。
「じゃあ、正解は?」と、詰め寄ったらじっと私を見つめてきた。
真っ直ぐな瞳に捕まってドキリと音が鳴る。
……綺麗。
なんて、簡単に見惚れていたら。
「花野井ちゃんと一緒にいたかったからだよ」
甘い言葉にクラッときた。
「前にも言ったじゃん。俺は優しくないし、いい人でもないって」
「……岸本くんはいい人だよ」
「勉強を理由に花野井ちゃんを独り占めするようなやつでも?」
「え、」
「それでも、いい人だって言える?」



