「じゃあ、俺と遊ぶのはどう?」
「え?」
「赤点回避のお祝いにご飯でも奢るよ」
優しく微笑む岸本くんを見て、思わず目を見開いた。
「それは流石に申し訳なさすぎるよ!?むしろ私に奢らせて!」
「女の子に奢られる趣味ないんだけどなぁ」
「お礼くらいさせてよ!」
私なんかのためにテスト前の貴重な時間を使ってくれてるんだから、むしろご飯を奢るだけじゃ足りないくらい。
「お礼、かぁ………」
不意に視線を外されて、呟くように岸本くんが言う。
含みのある言い方になんとなく違和感を覚えた。
「岸本くん?」と、名前を呼んだら明らかな作り笑顔を浮かべてこちらを見た。
「ここで花野井ちゃんに問題です」
「へ?」
「俺はどうして、花野井ちゃんに毎日勉強を教えてあげてるんだと思う?」
「ど、どうしてって……えっと……その………」
頭の中にいろんな答えがぐるぐると巡る。
急な問い掛けに戸惑っていれば「残り10秒!」と、岸本くんが追い討ちをかけてきた。



