極悪プリンスの恋愛事情



なにを言い出すかと思えば。

やっぱりさっきの会話聞こえてたんだ…………。

隠しているつもりはなかったけど、頭の悪さを知られて少しだけ気まずい。


「いいじゃん勉強くらい。教えてやれよ」

「嫌だっってんだろ。めんどくせーし」

「花野井ちゃんが赤点取ったら可哀想じゃん」

「別に。無様に赤点取って泣きゃいーんだよ」


うっ…………。

凛くんの極悪っぷりが胸に刺さって泣きそうだ。


「ったく、冷たいやつだな。ごめんね花野井ちゃん」

「ううん、凛くんに頼ろうとした私が悪いから」


「優しいね。なんなら、俺が勉強教えてあげようか?」

「え、岸本くんが?」


思わぬ提案に目を見開いた。


「凛には劣るけど勉強はわりと得意な方だし、よかったら手伝うよ」


き、救世主……?

ついさっきまで辛辣な言葉を浴びていたせいか、目の前で微笑む岸本くんが神様のように輝いて見えた。