はぁ……………。
テストを理由に凛くんと勉強デートができると思ったのに。
そう上手くはいかないや。
これ以上無理に頼んだって、凛くんが頷いてくれないのは知っている。
潔く諦めようとしたそのとき。
「勉強くらい教えてやれよ」
頭上から聞き慣れた声が降ってきた。
そこにはサンドイッチを片手に穏やかな笑みを浮かべる岸本くんがいて。
「花野井ちゃん来てたんだね」
と、言いながら私の隣に座った。
「瑛斗、遅い」
「これでも急いで来たんだけど。ほら、凛のお昼」
岸本くんが投げたのは購買で売ってるサンドイッチ。
恐らく凛くんに頼まれて買ってきたんだろう。
ハムサンド。好きなのかな。
「……で、なんで凛は花野井ちゃんの頼み断ってんの」



