うーん。相崎くんが風邪引いて学校休んだら、会えなくなっちゃうなぁ。
ただでさえ授業はサボりがちなのに!
どうにかして相崎くんの風邪を阻止できないかと自分の体に視線を落とした。
…………これだ!
ハッとひらめいてから、着ていた白いカーディガンを急いで脱ぐ。
何もないよりマシだよね。
どうか、相崎くんが風邪を引きませんように……!
無防備なのをいいことに、眠っている相崎くんの体にふわりとカーディガンをかける。
すると、次の瞬間────。
「ん………んぅ……」
今までピクリとも動かなかった相崎くんの体が突然動き出して。
あ、やば……。
そう思っても、時すでに遅し。
「は?」
「あ、」
パチリと目を開けた相崎くんと、初めて視線が重なった。
濁りの知らない茶色の瞳が、ブレることなく真っ直ぐに私の姿を捉えている。
………この状況、非常にまずい。
目を開けた瞬間にシャツ1枚の女がいたら変に思うのは当然なわけで。
肉食系女子が無防備な王子の寝込みを襲うとしているようにしか見えない。
やっば……。
前触れもなく訪れた最悪な瞬間に、サーッと血の気が引いていく。



