「はぁ?だるいってお前─────」
「もういいよ!!」
「わっ、」
通話中のスマホを無理やり掴んで遠ざけた。
「もう、いいから………」
私のためにしてくれたのに、こんなやり方で止めたら酷いかな。
ただのわがままだけど、凛くんが好きだからこそ自分の意思で来て欲しいって思ってるから。
「ありがとう。ごめんね」
抑えていた手をそっと離す。
岸本くんは文句を言うことなく、じっと私を見つめていた。
「……花野井ちゃんってさ、なんでそんなに凛が好きなの?」
「え……?」
唐突すぎる問いかけに言葉が詰まる。
顔を上げたらやけに真剣な表情をしていたから、私はごくりと息を飲み込んだ。



