「………って、俺何語ってんだろうな。急に変なこと言ってごめん！次の店に行こうか」
くるりと振り返った岸本くんは、仮面を貼り付けたような笑顔を浮かべていた。
作り笑い…………。
私に気を使ってくれたんだろうと察して、その優しさに縋るように頷いた。
こういうとき、その人の概念を覆すようなかっこいい台詞でも言えたらよかったのに。
頭の中に浮かぶのは綺麗事を並べたような薄っぺらい言葉ばかり。
私、気持ちを伝えるの下手くそだ。
だから凛くんにも届かないのかな。
思ったことや感じたことを簡単にしか表せない自分が情けない。
どうしたらいいのかわかんないよ…………凛くん。
