極悪プリンスの恋愛事情



「おっ、すげー美味い」


買ったばかりのタピオカを片手に岸本くんが満足げに呟く。

真っ先にタピオカを選んだだけあって、すごく嬉しそうだった。


私も一口飲んでから「美味しいね」と笑う。


「次はりんご飴食べようよ!あとクレープとベビーカステラも!」

「う、うん」


なんか、岸本くんって……。

ものすごく満面の笑みだったから、言おうか言わないか迷ったけれど。


「あのさ、岸本くん」

「んー?」

「もしかして甘いもの好きなの?」

「は、?」


歩みを止めて、瞬きもせずに私を見る。


食べたいと言ったものがことごとく甘いものだったし、なんならタピオカもいちごを選んでいた。

爽やかな見た目に反して甘党だなんて、ギャップが可愛すぎてずるい。