極悪プリンスの恋愛事情



えっ、こんな肌寒い日に外でご飯食べてるの、?


建物の陰に隠れる中庭は、人の視線を気にせずにお昼を過ごせる、我が校の人気スポット。

けれどそれは暖かい春や夏限定の話で、気温が低いこの季節に近寄る人はまぁいない。


物好きな人もいるもんだな………。

ワンサイズ大きいカーディガンで暖をとる私には考えられない。


……っと、こんなことに時間を取られている場合じゃなかった。

早く教室に戻って皐月とご飯を食べよっと。



再び前を向き直して、いざ歩き出そうとしたその瞬間。


「っ、くしゅ………!」


何やら聞き覚えのある声に目を見開いた。