極悪プリンスの恋愛事情






「私、飲み物買って来るから先に食べてていよ」

「はいよー、いってらっしゃい」


昼休みになり、皐月に一言告げてから購買に向かっていた。


買うのはお気に入りのオレンジティー。

最近はどうやら人気が落ちたのか、購買前の自販機にしか売っていない。


わざわざ冷たい秋風を浴びる渡り廊下を歩くもの、全てはオレンジティーのため。

こうして私が毎日買い続ければ、校内の自販機にも復活してくれると思うんだよね!


手に入れたオレンジティーを片手に、るんるん気分で校舎に戻ろうとした。


───けれど。


中庭の茂みから無防備に投げ出された長い足に気がついて、ピタリと足を止めた。