絶対やせてやる!

「お腹空いた。」

起きた自分の第一声はそれだった。

昨晩は、すっかり食欲を無くしてしまってほとんど食べずに寝たのだ。

これじゃあ・・・やせるよ・・・

やせたいんだけど・・・

「丁度よかったじゃない・・・。」

自分で自分に言い聞かせる。



「みのりご飯は?」
「いらない。今日は早く行く。」


会社にはいつもよりかなり早く着いた。

きっと誰も居ないだろうと思っていたら・・・


居た・・・

「おはようございます。」

既に仕事をしてるらしきその人に挨拶をすると

「おはようございます。みのりさん。」

顔を上げそう言ってその人は微笑んだ。

・・・古宇一馬・・・支店長・・・


「支店長・・・そのみのりさんってゆ~のやめて下さい。」

「どうしてですか?親しすぎ?」

「分ってるならそう呼ぶのはわざとですか?」

「二人っきりの時はいいかと。」


二人っきり?


「あのですね。ここは会社です。」

「でも、下の名前で呼ぶのって別に普通にあるし・・・。」

「それもそうですけど・・・誤解を招くようなことは避けたいんです。」

「誤解も何も二人のことは・・・分りました。じゃあ社内では我慢します。」

「だから・・・我慢とかじゃなくて・・・。」

そう言いかけた時


「おはようございます、古宇支店長。」

と同期の男性社員の飯島くんが出社して来て・・・

話は中断されてしまった。