「そろそろ時間だな。」
士幌が言った。
「もうそんな時間?」
慌てて時計を見た。ほんとだ。
すっかり時間を忘れてハシャギまくってしまった。
「11時の便だっけ?」
何だか・・・名残惜しい。
でも・・・しょうがない。
「送ってこっか?」
ちょっと言ってみた。
「いや、いいよ。行って戻ると時間の無駄だ。」
無駄なんてこと・・・無いよ。
もう少し・・・一緒にいたいのに・・・。
「また来て下さい。お待ちしてます。」
あっさりと夕くんが言った。
「ああ、機会があったら。」
士幌がそう言って車に乗り込んだ。
運転席の窓が下りる。
「士幌くんこれ。」
妹ほのかが窓から何かを手渡した。
何だろう?
一瞬?って顔をして士幌が受け取ったものを見て、
「ありがとう。」
と言って妹に微笑んだ。

