夜11時前に父がマンションまで送ってくれた。
「 ありがとう 気をつけて 」
「 伊織ちゃん、今回の事すまない。急な話で戸惑ってると思うけど、お母さんのそばにずっといると誓うから…
伊織ちゃんは伊織ちゃんのままでいてくれればいいから 」
お父さん……
「 はい、お母さんをお願いします。冷蔵庫が埋まってるって喜んでますから、単純なんです… 一緒にいてもらえたら幸せですよ、お母さんをお願いします 」
父の車を見送り、私の顔から笑みが消える。
悲しませたくない……
その思いで苦しくなった。
そしてもう一つ、解決しなくてはならない事。
優雅に連絡をするためにラインを、会いたいと送った。
30分後、優雅から返信が。
“俺も会いたいよ、深夜でも構わないなら彩膳に来てほしい”
その文面に緊張が走った。
翌日はバイトだが、気にしてられない。
徹夜覚悟で会いに行くと決めた。
心に、気持ちに、素直に……



