一度でも心から出た思いは溢れてくるだけ。
止めようにも、その止め方を知らない。
「 ねぇ 私たち…… 」
分厚く、決して壊れない壁がある。
その壁にヒビを入れることは、幸せを裏切る事になる。
「 ああ、わかってる… でも今はお前を抱きしめて離さない、伊織 」
過ち…… それはどんな時にわかるの?
指先が触れた時?
手を絡ませた時?
抱き寄せキスをした時?
今は、碧斗に心ごと奪われたい気持ちがあるとわかった。
また、甘く深く重なりあう唇が誘う……
二人だけの時間を……
そこへインターホンが。
ビクつき互いに我に返り離れて恥ずかしさでいっぱい。
碧斗がモニターを見ると、滉だったため、項垂れる。
「 こいつは何だってタイミングがいいんだ?」
そして玄関を開けると、迎えに来たと笑顔の滉がいる。
あからさまに嫌な顔で滉を睨む碧斗。
ヘラヘラと部屋の中へ。
「 一緒に行こうぜ~ その前になんか飲ませ…… お? 伊織ちゃん、そんなとこで何してんの? なんで体育座り? 」
いやー、見ないで、来ないでっ



