触れる、重なる……
碧斗が私の唇を奪う……
目をグッと閉じる私の顔を寸前で見つめる碧斗。
くるはずの唇が来なくて目を開けると、碧斗が私の頬を離して…
「 バーカ! お前にキスしても自慢になんねぇよ 」
私の中にある気持ちを知って認めてしまった自分。
今はただ恥ずかしくて、どうしようもなくて……
泣きたくなった。
「 キスなら私以外にしてよ、あんたなら手に余るくらいでしょ 」
私は本当は何が言いたかったのか……
「 私、優雅君の彼女だし、困らせたら優雅君が黙ってないよ、だから…… 」
私の心を、持っていかないでよ……
“兄”だなんて1ミリも思えないんだから。
「 じゃ、なんで泣く?」
泣く? 私、別に泣いてなんか… あれ……
「 お前は、俺を狂わす嫌な女だな 」
「 なっ… 」
次の瞬間、私に碧斗がキスを――――
本当は赤の他人、でも家族で……
あってはならない現実が起きて、それは高ぶった気持ちのせい。
私が碧斗を好きだから、私のせいかもしれない。
でも、私は碧斗のキスを受け入れた。
私たちは、家族… 兄妹……
それでも今は、碧斗だけを思いたい。



