「 ねぇ! 私の洗濯物が入ってるのに入れないでよっ 」

「 だったら入ってますって札でも付けとけよ!」

「 なんなのよ、もう!」

「 あーっ、うるせーよ!」



フンッ! 互いに啀み合う。

優しく介抱してくれた碧斗とは、話ではなく文句の言い合いをしている。


あの時の碧斗が幻に思える。



私の事、伊織って呼んでくれたのに……

あれっきり“お前”だもんなぁ

やな奴。



「 あ、ヤバ!遅れるっ 」



バイトに行くため慌ただしく家を出るがスマホを忘れ舞い戻る。

そして出て、次は仕事で使うペンケースを机に置きっぱなしだったのを思い出して、また舞い戻る。

一人バタバタしているのを見かねてか、碧斗が送ってやると言い出した。



「 送ってやるからよく確認しろ、間に合うよう連れてくし 」

「 いいの?」



車のキーを私に見せる碧斗。

慌てず持ち物を確認する、そして二人で戸締まりを確認して出た。