滉は何やら楽しそうに帰っていった。
腹が立っていた碧斗は気を落ち着かせ部屋へ。
寝ている伊織は苦しそうで熱のせいか息が荒い。
落ち着け、俺……
まずは服だな、暴れてもやるしかない。
……やれ、俺!
深呼吸し、伊織の服を静かに、手早く、何とか見ないようにして脱がせ、気づけば代わりの服がないため自分のシャツを着させた。
熱を測って、下に履いていたズボンは脱がさず、そのまま。
かなり脱力な碧斗は順に思い事をしていく。
「 あー、何とか…… いいだろ 」
他人の看病なんか初めてだな……
しかも女。
冷えピタ良し、服も汗も良し、部屋も温かいし、お粥…… それは無理。
あとは……
水分と薬だな。
意外と出来るもんだと一人思いながら、ふとお粥を作ってみようとするが、米をどうしていいかわからずやめる。
手にしたのはリンゴ。
碧斗のためによく父がリンゴを擦り下ろしてくれていたのを覚えていた。
それを伊織にもと、滉にリンゴを頼んでいたのだ。



