「 伊織ちゃんっ 碧斗を誤解しないで 」
言われて、訳がわからない。
誤解も何も、私からすれば性格が悪いとしか思わない。
だからもし、そうじゃないと言われても私の知る限りの碧斗は嫌な奴だ。
「 あの、何言ってるかわかりません。それに、あの人にとって私は家族でも妹でも女でもないです、ただの空気ですから。
傘はいりません 」
「 ちょっ、伊織ちゃん!」
走り去って、滉は眉間を寄せて参ったと呟く。
店に戻ると、傘を碧斗に渡す。
「 ほら、傘はいらないってさ。お前、伊織ちゃん苛めてるだろ、やな奴 」
「 なんだと!」
「 言ってたぞ、私は家族でも妹でも女でもないです、ただの空気ですってさ。
耳が痛いし心が痛いね、まったく 」
滉に聞かされた伊織の心情。
さすがに、胸が痛んだのか俯く。
「 なぁ、一人暮らしがダメになったのは伊織ちゃんのせいじゃないだろ、再婚だってそうだろ、なんで突き放す?
ほんとは気にしてるくせに、優しくしてやれよ 」
「 ……嫌だね 」
「 俺なら可愛がるのに 」
そう言って滉は店内で接客。
碧斗は傘を手に、どことなく寂しそうな顔をしていた。



