母に注意されてからは常にトングを目の前に置いて肉とにらめっこ。
碧斗は一切何もせず食べてるだけ。
それでも笑いがあって母の笑顔に嬉しくなった時間だった。
「 ねぇ滉君、実はお願いがあるの 」
「 はい、何でも言ってください、出来るだけ叶えますよ 」
滉君、そこまで言わなくても……
「 お母さん、あんまり無理は言わないで 」
「 何言ってるの、伊織もよ 」
え、私も?
「 碧斗君のお父さんに頼まれたんだけどね、新しくデザイナーズ・ハウスを任されたんだけど、モデルハウスには新婚さん向けにしたいからって、雰囲気出すためにドレスを飾りたいそうなの。
二人には選んで欲しいの、ドレスを 」
滉と目を合わせて、緊張が走った。
これこそ大役ではないかと……
モデルハウスは一般公開される見本物件。
となれば半端な気持ちでドレスを選べない。
さらに言えば、父の頼みだから。
「 お母さん、それ無理だよ 」
「 やります!ね、伊織ちゃん 」
えっ!?
「 碧斗も一緒にな!お母さん、任せてくださいよ、やります!」
ちょっと、本気?
「 良かったぁ ありがとう滉君 」
そんな、ほんとにやるの……



