碧斗が滉に連絡し、夜6時にやって来る。
滉は輝いていた、大役だと言って。
「 伊織ちゃん!」
「 滉君、今日は急でごめんなさ… い?」
「 滉っ 」
いきなり抱きついて嬉しがる滉に、私は背中をポンポンとし、碧斗は滉の頭をペシン、と叩いた。
「 伊織ちゃんの彼氏なんだから叩くなよ 」
「 偽者だろうが 」
「 偽者だろうがなんだろうが、伊織ちゃん、俺嬉しいからね 」
そうなんだ…… 良かった、のかな?
碧斗がよく滉をお調子者だと言っている、それがよくわかった気がした。
三人で母に指定された店に行く。
待っていたのは母だけで父はいなかった。
聞けば仕事で来られなくなったと……
私と碧斗は内心少しだけホッとした。
問題は、母に滉は彼氏じゃないとわかってもらうか。
「 さ、早く食べましょ~ 滉君もたくさん食べてね 」
「 はい!綺麗なお母さんに言われたら食慾倍増ですよ~ 」
「 あら!滉君はカッコいいだけじゃないのね、嬉しいわ 」
「 いえ、俺の口からは真実しか出ませんよ 」
母と滉の会話を聞いていて、私と碧斗は顔が引き攣る思いだった。
本当によく喋る口だと、寒気がすると、碧斗はブツブツ言っている。
私は先々が不安になっていた。



