人の気持ちは誰にもわからず、言われないと気づかない事が多い。
秘めた恋が実る時、どこかで秘めた恋が悲しむ。
リビングで抱き合い、肌に被さる毛布の気持ちよさに、温かな腕に囚われている。
目が覚めて見てみれば、額に触れた碧斗の唇。
「 碧斗… 」
「 もう少しこのまま 」
……ん? んんっ?
あれ、碧斗…… って、あ!!
我にかえると現実が直面しやたらと動きたくなる。
とにかく、離れよう。
とにかく、服はどこか……
私の中でパニックが始まった。
私、碧斗と… 碧斗とー!!
「 伊織、動くな 」
「 だってちょっと… 」
う~ それ以上くっつかないで~
「 伊織っ 」
「 だって!」
と、目覚めで温度差が出る私と碧斗。
碧斗は私を離さないでいながら、私は離れたくて仕方がない。
なぜなら恥ずかしい。
そんな時恒例のインターホンがなった。
そして思いきり嫌な顔をする碧斗が私をギュッとする。
鳴らされるインターホンは回数が増え、イライラする碧斗が痺れを切らして出る。
「 よ!碧斗 」
「 ……貴様は~ いったい何なんだ!」