優雅の胸で泣いた伊織を連れて行く。

ただ、自宅に連れて行くと帰せない。

優雅にとって伊織を思う気持ちが増していたため、考えるしかなった。


私は自宅か、彩膳に一緒に来てた友達の家には行けないかと聞かれたが頭が何一つ考えていない。


何も話さない私に優雅は決断した。

自分の自宅へと連れて行くと……



「 ちょっと散らかってるけど、ごめん 」



優雅に連れられて来たワンルームマンション。

特に物があるわけでなく、最低限必要な物しかない部屋。

すぐにベッドに横にされて眠るように言われて、目を閉じた。

頬に残る涙の跡……

髪を少しだけ避けると、見えた首筋にある跡……


碧斗への怒りを抑えて、眠る手を優しく握りしめた。




「 今は眠って…… 」



そばにいるから、そう心で思い涙の跡が残る頬に触れるだけのキスをする優雅。



その頃、碧斗はマンション付近を探し見つからない伊織を思いながらいた。

亜稀はそんな碧斗を見ていて、そばに来る。



「 碧斗、風邪引くよ 」

「 なんで…… 」

「 私がキスしたの、怒ってるの? ダメよ、碧斗…… 彼女にはキスしてたとしか見えてないもの。否定すればそれだけ傷つくの、わかるでしょ、碧斗は私といるべきよ 」



違う、碧斗は言葉なく否定していた。


今はただ、伊織を思うだけ。