一度は優雅の隣にいようとした、でも私の心が本当に思う人を選んだ。

私は碧斗の隣にいたい。

それを今、強く望んでいる。



どうか、わかって……



「 優雅君、私は優雅君を好きにはならない。
家族として再会した碧斗だけど、好きなの…
親に知られてもいい、それくらい好き、誰にも許されなくていいの 」


「 なんで碧斗… アイツの事、よく知らないのにそこまで心許す?
伊織ちゃんは知らなさすぎだよ、本当に傷つけるのは… 俺じゃない、碧斗だ 」




優雅はそう言って、悲しそうな笑みを少し見せて、私の肩を軽くポン…として部屋を出て行った。

残された部屋で両隣からは楽しそうな歌声が聞こえる。

考えるのは優雅が言っていた事……



私は碧斗の事をよく知らない。

知ってるのは、知ってるのは……



あ… 私、碧斗を知らない……



何が好きで嫌いで、物に対する興味や好み、近くにいて気持ちがあるのに等の本人を知らない。

それでも碧斗に惹かれている。



碧斗が私を傷つける?

まさか、そんな事……