碧斗に抱く甘い逃げられない危機感より、優雅に対して危機感を感じてしまった。

離れないと、どうかなりそうで怖い……



「 俺を見なよ、碧斗じゃなく… 俺は一緒に手を繋いで外を歩ける、どこでだって堂々と君を抱きしめてやる 」



優雅の言葉はいつも… 痛い。

弱い部分に突き刺さる。

それが現実だと言葉を聞くたび思い知る。

誰が悪いわけじゃないのに、傷ついてしまう。



「 伊織ちゃん、紹介で会って初めは適当だった、碧斗を思ってるの気づいたのに俺は卑怯なやり方をした… やり直したい、今から、もう一度やり直しさせて 」

「 優雅君… 」



私を見る優雅の目は嘘じゃないと感じた。

私を好きだとの確信はないのに、切なく感じた。



「 私、碧斗が好き… それは変わらないの。例え兄妹だとしても、今はダメ…… 」

「 ……それ、親に知られてもそう言える?」



え……



優雅の言葉は、心に刺さる。



「 伊織ちゃん、俺は卑怯な奴だよ、それでも俺を選ばないなら… 」

「 やめて!! どうして、そう言わないと気がすまないの?
私を傷つけてまで私の何がいいのっ 」



わからない、優雅の気持ちが。

嘘には聞こえない言葉と裏腹に、怖いとも思う。




「 俺の兄貴の友達が、碧斗の父親の会社で働いてる、いつでも連絡は取れるよ 」




体に寒気が走った。

冷たい、逆らうなと命令されたような……



碧斗、私が他の人の隣にいる事を選んだら…

奪い返してくれる?


ねぇ、碧斗……