「んーっ、まだ渡すべきじゃないって、神様が教えてくれてるのかもっ!だから残念だけど…チョコは、このまま渡さないままにするよ」



本当はね。昨日振られてから水瀬くんのチョコ、私が家で全部食べたんだ。



水瀬くんが甘いの苦手なこと知ってたから、甘さを控えめに作ったチョコは、すごくほろ苦く感じて。



なんだか少し…涙の味で塩っぱかった。



「永絆…?どうした?具合悪い?」

「えっ!?大丈夫ーっ!!全然元気だよっ、えへへ」



ぼーっとするの今は禁物だ…。



いつの間にか、水瀬くんのこと思い出して…
いつもの自分で居られなくなる。



勘が鋭いなっちゃんにも怪しまれないように、いつも通り何気なく過ごさなきゃ。