莉音にそんなことを言われると、自分の存在意義があるように思えて救われる。 (人を殺してることには違いないのにな) 「心当たりないんですか。犯人に」 「ねぇな」 ……“アイツ”かと、考えたりもした。 アイツなら、むごいことも平気でするから。 だが、俺たちの存在がおおっぴらになるかもしれないような下手な真似はしない。 あくまで俺やアイツの一族は、人間に紛れて暮らしてきた。