――――半年後


高校生になった莉音は、うちに、よく遊びにきていた。


というか入り浸っている。


最初は、驚いた。


「お前どうやって入った」

「玄関から」


そういうと鍵をチラりと見せてきた莉音。

当然、俺はそんなモン渡した覚えはなくて。


どうやら鍵を貸してやったときに勝手に合鍵を作ったらしい。


管理人には遠い親戚だと挨拶したから安心しろだと。


それまで俺が彼女に抱いていた

『優等生』というイメージが、莉音の中から消えつつある。


「ご飯準備して待ってたいな」とまぁ、健気にそんなことをいう莉音。


嫁か。


「俺が人間の食い物くったら気持ち悪くなるの知っててそういうこというな」

「だから。うんと美味しいもの揃えて待っていたいんですよ」

「は?」

「そしたら、喜んでくれますか?」


おいおい。生贄でも捧げるつもりか。


「……いいか。余計なことすんな」

「はーい」


コイツは、表向きは今も優等生だ。


悪い子ではない。


ただし、俺の為なら、なにをするかわからない恐ろしさがある。


俺に命を捧げようとしたくらいだ。


……放っておけば、他人を殺めるかもしれない。