「これなら黒いサンタさんがわたしの家を見つけやすいかと思いまして」


へへ、と子供らしく笑う莉音を見ていると、もう自分は黒サンタでいいかなと思えてきた。


見つけやすいもなにも。

お前の住処なんて把握済みだし見てたっつーの。


「っ、ちょ……なにしやがる」


俺の頭に帽子を被せてくる莉音。

背伸びしたところで届きやしない。

だから、俺が、前かがみになってやる。


……なにしてんだろ、俺。


かぶり終わったあと、街のガラスに映る自分をみて鳥肌がたった。


「うーわ。……いらね」


俺のためにこんなもんわざわざ買ったと思うとニヤケそうになるが。我慢だ。


「似合ってますよ。すっごく」

「そうか?」

「素敵です」

「……あっそ」