ブラックサンタクロース



「莉音。……お前。悪い子になったな」


照れたような、困ったような顔で

ジンさんがわたしを見つめる。


「悪い子です。食べますか?」

「……ここで手を出したら終わりな気がする」

「なに人間らしいこと言ってるんですか」

「悪かったな」

「いえ。そういうとこ含めて全部、大好きです」

「……お前なあ」

「辞めていいんです」

「え?」

「背負いすぎないでください。ジンさん」


あなたがどうして警察になったか、わかりません。

だけどあなたが

世の中のために働いているのは、知っています。


「なにかありました、よね」


軽い気持ちで

"辞めたっていい"なんて言うはずない。