――――突然、誰かに腕を掴まれた。
今度は、さっきみたいに
振り払おうにも、かなわない。
なんて力だ。
「落ち着け。お前が取り乱してたら、ヤツの思う壺だ」
誰にも聞こえないような小声で
そう囁いたのは――
「来い」
ジェイドだった。
相変わらず黒いスーツを着て無愛想なカオしてる。
(どうしてここに……)
「上原。いいか、アマリは俺がかくまう。そう上に伝えろ」
「……え!?」
「なんだ。不服か」
「いえ!……了解っス!」
ジェイドは僕を、控室まで連行した。
いつの間にこんなに力をつけた?
いや。違う。
(……僕が、弱ってるんだ)
シャワーを浴び、バスローブを着てジェイドの隣に座る。
「君が来ていてXに侵入させるなんて世も末だね」
「アマリ。音楽祭は中止だ」


