ブラックサンタクロース




その言葉を僕に告げたリョウコから、これまで触れたことのない温もりを感じた。


同時に、求めていたものに、ありつけた。


やっと。出逢えた。


極上のグルメに。


僕は、この瞬間を、ずっと待っていた。


腕の中にある、リョウコの、心。


――――なんて美味しそうなんだろう


「そうか。リョウコは、ずっと隠してきたのか」

「……………」

「どうして言ってくれなかったの。自分の気持ち」

「……………」

「リョウコ?」


「AMALIさん、離れて下さい」
「救急車が到着しました」


(離す?)


コレを……?


「いやだ」


リョウコが、

僕の、エサが、

連れて行かれるのは。


こんなに美味しそうなの。

見たことも、食べたこともないんだ。


どうせ助からない。


はやく、止まってしまう前に。


――――呑み込んでしまわないと