ブラックサンタクロース



苦しげな表情をみせるジンさんがそこにいた。


……こんなジンさんの顔、知らない。


どうしてそんなに辛そうにしているのですか。


「休みのたびに俺のとこ転がり込むくらいなら。もっと楽しいことあんじゃねぇの?……俺は帰って来れない日だってあるわけだし」

「ジンさんのおうちにいられるだけで幸せです」

「俺はお前と同じものが喰えないんだ」

「知ってますよ?」

「お前ひとりに食事させてるのは……、見ていて心苦しい」


そんなこと、考えていたのですか?


「人間にとって食事というのは大事なことだ。少くとも俺の周りの人間は、そう考えている。同じ鍋をつついたり酒の席で友好を深めたり、そんな風にして関係を築く」


ジンさんは何度も付き合いでそういうシーンに遭遇してきたのかな。


そんなときは、無理して……

『美味しいフリ』をして呑み飲んでいるの?


笑顔で乗り切って。


あとから一人、辛い想いして吐き出すの?