ブラックサンタクロース



もしかして……。


「ヤキモチ、焼いてくれてるんですか」


わたしが。

アマリさんばかり、気にするから。


「阿呆。いつ喰われるかわからねぇってこと」


アマリさんは、わたしを食べるかもしれないの?


「アイツは莉音が俺の知り合いだろうが、喰いたくなれば喰う。情け容赦なく」

「そんなの嫌です」

「だろ。だったら、下手に興味なんて……」

「わたしはジンさんに食べられる予定なのに」

「そこかよ」

「もちろんです。ジンさんといられなくなるのも、嫌です」


呆れ笑いをするジンさん。


「アマリさんがそんなに薄情だとは思いませんでした」

「ある意味欲望に忠実な、素直なやつだよ」

「なるほど。食べたい『エサ』を手に入れる為には手段を選ばないんですね。つまり……食べたくなる人間っていうのはある程度好みが偏るんですね? 人間が好むようなテイストがあるように、人気ある心臓から狩られていく。だから他人が目をつけた『エサ』が欲しくなる。だとしたら……それはどんな人間なんでしょう……?」

「せっかくオブラートに包んだ言い方をしてやったのに分析し始めるのやめないか」


ジンさんは、その答えを教えてはくれなかった。