ジンさんだって負けてない。
その気になればヴィジュアルを活かした仕事、いくらでも舞い込んできそう。
ただ、わたしは女の子からキャーキャー言われてるジンさんなんて見たくないけれど。
ジンさんに熱い視線を送る子は……
わたしだけでいい。
でも、職場で、絶対にモテてるんだろうな。
「アマリさんもジンさんみたいに悪い人を食べてるんですか?」
ジンさんは、なにも答えない。
つまりはそれが答えなのだろう。
――アマリさんは善人も食べている
ひょっとしたら善人しか食べていない?
グルメって聞こえはいいけど
美味しい人――つまり綺麗な心ばかり食べているとも、とれる。
そう考えると、妙にゾクゾクした。
怖くなったわけじゃない。
あまりにもリアルからかけ離れていることを想像して。
それが、わたしの、好奇心を煽った。
「莉音」


