ブラックサンタクロース



「相変わらずこれしかないけど」と、1杯の水をグラスに汲んできてくれたジンさん。


もう片方の手には自分のグラスを持っている。


グラスの縁に口をあてゴクゴクと水を飲み干していくといった、ごく当たり前の仕草ですら絵になる。

ジンさんの喉元や顎のライン、浮き出る鎖骨が綺麗でつい見とれてしまった。


「どうした?」


首をかしげてこっちを見るジンさんに返す言葉が見つからない。


やっぱり、あなたは、他のひととは違う。

こんなにも、わたしをドキドキさせてくれる。


視線を目の前のツナオニギリに向けた。


「……このオニギリの味を、ジンさんは不味いと感じるんですよね」