契約結婚なのに、凄腕ドクターに独占欲剥き出しで愛し抜かれました

ソファで微睡んでいたら、お腹にドンと衝撃が走った。

「もう、パパ―いつまでねてるの?」

俺の上に乗っかっているのは娘の美羽だ。

「あんまりねてるとふとるよ。はやくおきてよー」

「ああ、わかったよ」

四歳になった美羽は、最近美咲の言うセリフを完全コピーしている。

起き上がろうとしたら、パタパタと足音が近づいてきた。

「パパ!みくもー!」

下の娘、美紅が俺に向かってダイブする。

「うう……」

さすがに二人分は重すぎて呻き声が漏れる。

そこへ、ワンピース姿にバッグを持った美咲が顔を覗かせた。

「あはは。ふたりとも元気ねえ。仕事行ってくるね」

「ああ。相沢の病室に寄って来るんだろ?おめでとうって伝えておいてくれよ」

「うん」

相沢はつい先日出産したばかりだ。

持病があるから、妊娠後期は管理入院をしていたものの、生まれてきたのはとても元気な男の子だった。

すでに院内では、風間先生似のイケメンだと噂が広まっている。

「じゃあ行ってきまーす」

「あ、おい」

「ん?」

「あんまり無理するなよ?」

美咲はきょとんとして、閃いたように「ああ」と笑った。

「大丈夫。任せといて」

膨らんだお腹を、ぽん、と叩く。

そのうちドアが開閉する音がした。

「やっぱり覚えてないか」

ひとり呟いた。

美羽と美紅をお腹からおろし、なんとか起き上がる。

「よし、お出かけしようか。ケーキ買いに」

「ケーキ?」

ふたりは目をキラキラさせる。

「今日はママの誕生日だからな」

仕事に育児に家事、毎日忙しい美咲は自分の誕生日なんて気にも留めてないだろう。

だから今日は、サプライズパーティーだ。

「お部屋を飾り付けするの、手伝ってくれるか?」

「うん!」

実は三人目も女の子だと判明している。

俺の立場がどんどん狭くなる気がしてならないけれど、それでもあの頃描いた幸せな未来は叶っている。

今日は美咲にたくさん伝えよう。

美咲と結婚してよかったと。