時刻はもう4時を回っている。
下校時刻だ。
それでもやっぱり恐怖や不安は拭いきれない。
演じている身にもかかわらず、底から沸々と湧き上がってくるそれは、
明日も続けるのか、という恐怖を増幅させるものだった。

「やっほぉー!もう4時を回ったんだよー!
もちろん、帰すよ!
殺人があるとはいえ、所詮みんなは学生!
親御さんが心配するもんねー!?
だから、このげぇむは一時休戦!
お休みってこと!
また、明日もあるからね!」

良かった。帰られる。
私は演じていて張った気がフッと緩んでいくのを感じた。

すると、途端にみんなの前にいることが不安になる。



なんで、こんな私について来てるの…?
おかしいよ、絶対…。



としか、考えられなくなる。
やっぱり、演じきれてないのかな。
途中で過去のことを思い出したり、急に情緒不安定になったり…。

でも、こんなところで素の私に戻っていられない。
戻ったら、このクラスは確実に死ぬ。
私はまだ死にたくない。










でも、もし。死ぬんだとしたら。










正体を…それだけ。






アイツの正体を知れればいい。
自分は、あっていたのか、それだけを。


思えば、私はともかについて、1つ間違った過ちをしていたなぁ。
事件なんて関連なかったし。
まだまだだな。




私は、このゲームの中でだけでも。
誰かに認めてもらおう。
誰かに助けてもらおう。
誰かに笑顔になってもらおう。





裏切り、か。





今のところ、何も裏切りはしていないはず。