それは、ある昼のこと。

私は彼に屋上に呼び出された。


「どうしたの?」
私が聞くと、すぐに返事が返って来た。

「…あっとさ…。俺、強くなったと思う?」

「うん。強くなったと思うよ。何かあったの?」

「…ぁ、いや。あのさ。明後日さ。空いてる?」

「うん。」

「じゃあさ、俺と隣町まで行かない?親にプレゼント、っつーか、買いたいから…」

「あぁ、おばさんにね。うん。分かった。」


「じゃあ、明後日の朝迎えに行くから。よろしく。」

「うん。」

彼は去っていった。
そっかぁ。なんか優しいな…。


「何よ、アイツ…!」








「ねぇ?なんで一緒にいたの?うまくやってくれるんじゃなかったの?」

「あ…えっと…」

「はぁ…うざ。
なんなの。あのさ。私さっき明後日会えるか彼に聞いたの。
そうしたら、ダメって言われた。
なんでアンタの約束事に私が引き下がらなきゃいけない訳?
ありえないんですけど。」


彼女は私を屋上のフェンスまでジリジリと攻め立てる。


「危ない…!」

「いい?ここのフェンス。老朽化なのよ?
だから、すぐ壊れちゃうかもね?
そうしたら、死んじゃうかもね?」


「やめてっ!」


私は春香ちゃんを突き飛ばした。

「はぁ?うざ。ちょっとみんな。コイツ落とせよー!」

「おっけー!」



女の子二人と、男の子一人が来た。

「じゃあ、落としちゃっていいよ。」





フワッとした浮遊感とともに、私の体が宙へ投げ出される。



「いやあああああああああああああああ!!!!!」








「秋斗は私と付き合うんだからね?」





彼女が最後にそう言って笑ったのを、境に。
私の命は終止符を打った。