…だよな。
そう簡単に起こるわけねぇよな…。


いくらなんでも過信しすぎだっての…。
だからと言って?こうやってクヨクヨしてんのも、俺じゃねぇしよ。


「さぁて?次は誰なんだよぉ…?早く…早くぅ…!!」
理性というか、なんつーか。
トリガーが外れた、みてぇな?

俺が俺じゃなくなって、思ったことをやりたいことをやってる感じなんだよな…。




「…チッ、誰もいねぇのかよ。…じゃあ、彼女でいっか。」



そうだ、俺は自分が生きれればいい。
女だろうと、な。






「あっ…秋斗っ!やめて…!」



っは!?


俺の制服のズボンを春香が掴んでいた。
「おいっ…おまっ…」

「やだっ!もうやめてよ…!こんなこと、間違ってる!」

春香は泣きそうな目で俺に告げた。

「…もう秋斗が人を殺すのを見るのは嫌だよぉっ…!だって、後から辛くなるよ!?
だから、もうやめてよ!」







は…?なにコイツ。
俺は無性に春香が憎くなった。
何で?俺は俺が生きるために殺してるだけなんだけど。



そもそも、何でコイツと付き合ってたんだろ、俺。


「…うるせぇな…お前がこうなる方がいいか?」





春香はキョトンとした顔になる。
「あき…と?」
「俺、お前のなにが好きだったんだろうな…?」
「どういうこと…?」


俺は黙った。何が好きだったのか分からない。

「私は、あの子がいなくなったから、今秋斗と付き合えてるんだよ?
何でそういうこというの!?」


すると、春香はハッと口元を押さえた。

「は…?何お前。いなくなったから?だからなんだよ、何でお前がそのこと知ってる?」

まさか…とは思うが。
コイツだったりするのか…?
アイツがいなくなった原因、って。




「お前…殺したりした?」

もしかしたら、そうかもしれない。
さっきだって、後から辛くなる、って。
捉え方によっては、コイツが殺したことがある、と捉えても問題はないはず…。

「そんなことしないよ…!でも今はさ!こんなこと言ってる場合じゃ!」



俺は、1組の女子を離した。
そして、春香を拘束した。

「ほら、言えよ、お前が何をしたか、誰にどうしたか、言えよ!」



俺は、今こんなゲームが行われているおかげで…
知りたくない事実を知ったのかもしれない。

1組なんてどうでもいいや。
もう一人は殺してある。
よっぽどこのご時世狙わないだろ…
今、俺がやるべきことはコイツに吐かせること。
全部、全部。


「ほら、早く言えよ!何したか!」

「…ごめ…っ…殺すつもりはなかっ…た!
ただ、嫌いなだけ…!ずっと…秋斗の近くに…いたから…っ!
憎くて…!嫌で…!」


俺の腕に涙が落ちる。

は…?そんなことでアイツは死んだのかよ。
…うざ。


「ちょっと!二人とも!?今はそんなことする時間じゃないよ!」


ともかが静止に入る。

「うるせぇよ!俺は、アイツのために今を生きてるんだよ。
コイツさえいなければ、アイツは死ななかったんだよ!」


「春香ちゃんを殺したら、その子は戻ってくるの!?」


「は…?」



「今、このイカれたゲームの中で春香ちゃんを殺して。
そうしたら、現実に戻ったらその子が生きてるの!?
…ううん、イカれたゲームの中じゃなくても。
その子は戻ってこない!!
逆に悲しむと思うよ!殺人してさ!
過去に色々あったのは、忘れられないと思うよ!
…それは私だって同じ。
秋斗くんは、今その子の分も生きてるんでしょ!?だったらなおさらそんなことしちゃダメ!
今、殺すべき相手は1組じゃないの!?
だから、今はやめよう?
もし、心が変わらなかったらその時はそれでやって。
変わったのなら、今やるべきことをしよう?
…まだ、負けって決まったんじゃない。
今から始める、ここがスタート!
私も殺るから…!今は勝てるようにしよう…?」




コイツ、なんだよ、


「…分かった。コイツは後にするよ…でも、勝ち目なんて…」



「わたしにはわかるよ、あと少しで放送が来る。
…、私たち5組が8組に勝って、少しの休憩になるんだよ、そうしたら、みんなでもう一度頑張るんだ。」




コイツの過去、か。
「じゃあ、少しでも楽になるようにしないといけないな…」



「分かったんならいい!じゃあ、本当は嫌だけど。
…殺そっかな!」


ともかはヘヘッ、と笑って真剣な表情を見せた。